◇ATTENTION◇
この話は、花園家で繰り広げられるあひるとののんの日常です。
うp主は一次創作者ですが、あくまで「花園家のあひのん」としてご覧ください。
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これは冬のある日のお話。
「大寒波だってー寒ー!」
「んー」
朝の天気予報を聞いて、この異常な寒さに納得する。暖房をつけても一向に暖かくならない訳だ。
のんちゃんは毛布に包まってロイヤルミルクティーを飲んでいる。ミノムシみたいで可愛い。しかし、吐く息の白さが私を現実へと引きずり戻したのであった。寒い、寒すぎる。
「ねーあひるちゃん、鍋でも食べに行きませんか? ついでに温泉にでも行って漫画読んでぬくぬくしよ~?」
「うっわナイスアイデア!」
「流石の温泉でも帰るまでに湯冷めしそうですけどね。カイロも持って行きましょうか。ほら、準備して?」
「はぁーい!」
そうして2人は近くの温泉へと向かうことにした。
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「はーさむ……ギルティ……」
「これはギルティですわ……睫毛凍りそう」
「冷凍蜜柑になる……」
「た、食べないでね!?」
「冷凍あひるは要らないです……」
「それはそれでショック!」
外は一面銀景色。写真で見るなら綺麗だが、実際に降られると迷惑この上ない。はしゃぐ子供たちを横目に自分も随分と年を取ってしまったものだと溜め息を吐いた。まぁ、それでも15歳の少女ではあるのだが。
ふと前を見るとののんがかなり前を歩いていた。いつもなら後ろを見ながら歩いてくれるのだが、雪のせいでそれどころではないのかもしれない。寒さからか、妙に速足で歩くののんに必死に付いて行く。ののんは暑いと動きが鈍くなり、寒いと俊敏になるタイプなのだが、あひるはその逆で、寒いと身体が動かなくなるのだ。
「待ってよぉ……転んじゃうよぉ」
「……コーヒー買う」
「はぁい、いってらっしゃい……」
近くの自動販売機へ直行するののんを見届けて、買い終わる頃に横を通るように計算して歩く。
「ただいま。はい」
「おかえり……あ、ココア…! ありがとぉ~!」
「どういたしまして。ココアの暖房器具だなんてお洒落ですね~」
「あはは! そういうのんちゃんもコーヒーとか大人だね!」
「加糖ですけどねー」
そう言ってまた歩き出す。
(私も何かしてあげたいなぁ……)
転ばないように注意しながら、温まることを考える。
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↓以下あひるの脳内シュミレーション↓
「はぁ……寒いなぁ」
横目でチラッと想い人を見つめる。彼女は2、3m先を見て歩くので、私の視線に気づかない。熱い眼差しは交わることなく一方通行のまま想い続ける。
ふと、ふらふらと風を切る細い腕に目が止まった。そのまま目線は寒さで赤くなった指に辿り着く。なんとなく手持ち無沙汰な私の手は、その行き場の無い手を捕まえる。
「あ……」
ののんの睫毛が震える。きっと期待している。駄目押しに耳元で囁く。
「ののんちゃん……💓」
「〜!」
耳まで林檎色に染めた彼女が愛しくて堪らなくて。私はそのまま指を絡ませた。
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「完璧や……」
「あー寒いーラニーニャ現象恐ろしやー」
「寒波ですな!」
「寒波ですねぇ……こんな時こそ手袋が必須アイテムだと言うのに、片方見つからないなんて災難ですわねぇ……」
「うわぁ辛いね〜;」
手袋GJ! なんて下心を雪に埋めつつ着々と手を温め虎視眈々と時を待つ。
「粉ぁ〜雪ぃ〜んねぇ♪」
「そうだねーサラサラしてて真っ白だねー!」
「ぅわ鼻に当たった。なうじゃん」
「なうで降ってるねー!」
「なう雪」
「何それ!」
ののんさんはテンションが割と高いご様子である。今がチャンス!チャチャチャンスやであひる!
ぎゅう〜と温めた手で気持ちを込めて握る。そう、まるで寿司職人がシャリを握るように。優しくふんわりしながらもしっかりと形作るように。
「あ……」
チラぁッと横目で反応確認。
「はぁ〜草履を懐で温められたような気分であるぞー良きかな良きかな〜」
「(あっ何か違う!)」
照れるどころか両手で掴まれた。予想外、予定外。どこで計算が狂ったのだろうか。
「あひるちゃんも手袋忘れたの?」
「ん"ん"! そうなのー!」
「何やってるんだか……あー寒いなぁ。天然のアイスキャンディ作れますわよ奥さん」
「あらやだー奥さん作っちゃいますぅ?」
「ちょっと寒いですわね〜やめておきましょうかね〜!」
アイスキャンディとか可愛いかよ〜!なんて気持ちは左へ受け流し、作戦Bを実行する。
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↓以下あひるの(ry↓
ののんの指の感触を確かめながら上着のポケットへと導いた。
「ちょ、ちょっとあひるちゃ……」
「駄目?」
「だ、め……ではないです……」
「この方があったかいでしょ? ふふっ!」
「……馬鹿」
「馬鹿じゃないもんー家鴨だもーん!」
「……そうですね、知ってた」
「好きでしょ?」
「好きだよ、馬鹿」
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「キタコレ」
「うー寒いを超えて痛い……」
(よし、今度こそ)
あひるが今年一番のキリッとした顔をした丁度その時だった。
「ちょいと面貸せやー」
「へ?」
謎の脅しと共に感じる温もり。つまり、あひるのお手々がののんのコートのポケットにINTOした。
「(先を越された)」
「あー生地1枚で世界が救われる」
「あ、あったかい……」
「でしょーまるで羽毛布団のような安心感!」
流石にCまで考えていなかった。どうするあひるちゃん! こやつ手強いぞ!
「冬ーがー寒っくって本当に良かったぁ〜♪」
そんなあひるの計画なんて露知らず、ののんは冬の名曲を口遊み朗らかに笑っていた。
「……まぁ、いっか!」
「何がですか?」
「なんでもなーい!
君の冷えた左手を〜僕の右ポケットに〜
お招きする為の〜この上な〜い程の理由になるからぁ〜♪」
「なんか湿ってきた嫌……」
「ああっそんな! 汗ばんだ手を出したらもっと冷えるよ!」
「汗ばんだりー?」
「ラジバンダリー! って古いよぉ!」
そんなあひのん冬の日常でした。ちゃんちゃん!
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