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あひのん日和!【第8話】隣に居たい

◇ATTENTION◇

この話は、花園家で繰り広げられるあひるとののんの日常です。

うp主は一次創作者ですが、あくまで「花園家のあひのん」としてご覧ください。




*****



 わたくし、響姫あひるには悩みがあります。それは──


「あーひーるーちゃーん、お腹空いたー」


 腕にしがみついている可愛過ぎる生物、ののんちゃんである。



<第8話!隣に居たい>



 最近マスターがののんを手当り次第に呼び出していたのだが、それはどうもレコーディングや衣装合わせだったようだ。ここ1ヶ月で新しい衣装や楽譜を2泊3日の旅行帰りのように抱えてくるののんをあひるは横目で眺めていた。


「最近忙しそうだね?」

「そうなんですよ、何だかマスターの魂に急に火が点いたみたいで。今まで溜まっていた

仕事を一気に片付け始めたんです。はぁ……」

「それはそれは…大変だね……よしよし!」

「ん~」


 編み込みが崩れないようにぽんぽんと頭を叩く。自然なようでかっちり決めている前髪は

なんとなく触り難い。女子って難しい。


「ああ、そうだ。マスターのやる気、あひるちゃんにも飛び火しそうですよ? アイドルユニット作ろうとかほざいてました。これ、衣装案ですって。どれがいいですか?」

「なぬ!?」


 数枚にまとめられたスケッチを見ると、そこにはセーラー服のようなワンピースや、大きなリボンがあしらわれたふんわりした衣装など、複数のデザインが描かれていた。しかも髪型のことまで書いてある。編み込みお揃い? 可愛いかよ。


「えっえっ全部可愛いんだけど。オレンジとピンク絶対って凄く分かる。えーどうしよう服は①が好きだけど②のリボン可愛いし編み込み最高すぎる」

「じゃあそう伝えておきます」

「えっ困らないそれ? 選んでないし!」

「良い感じにまとめてくれるでしょう」

「それでいいのかなぁ」

「あ、ごめんなさい時間が。これからレコーディングなんですよ」

「そうなのか! いってらっしゃい! 頑張って!」

「あーい」


 頑張ってくれと他人が思うような気怠い声で返事するののんをあひるは和やかな笑みをたたえて見送るのだった。


「……アイドル。ふへへ」


 当人はその事で頭が一杯なのであった。



*****



 ある日はセクシーなのに可憐で清楚な少女。またある日は華やかで艶やかな女王様。そのまたある日はキラキラ眩い美少女アイドル。

 あひるは心の底から驚いていた。


「(のんちゃん可愛すぎかよ(真顔)」

「……あの?」

「あのあの、全部最高だけど控えめに言って女王様の下僕になりたいヒールで踏まれたい。今までのんちゃん箱推し(?)だったけどQueenすこすこのすこって感じもう推し最of高」

「そ、そう? 有難う御座います」

「でもね、Idolのね、髪下ろして巻いてるのんちゃん美少女すぎませんか? ねぇ?」

「お、おお……ありがとう……どちらかというと天然パーマを良い感じに落ち着かせるのが

大変だから縛っていたいんだけど……」

「それ天パなの縦ロールになるのマジかよもうのんちゃんはお姫様なのでは?」

「あはー皮肉にしか聞こえないです」

「えっちょっマジこれ本気な信じてTrust Me!」

「そんなことより、あひるちゃんも早く着替えてくださいよ。衣装合わせ中ですよ」

「あっはい」


 苦笑いされてしまったので、切り替えてサッと個室に入り、衣装をそそくさ箱から取り出した。


「……なんということでしょう」


 そこには夢と希望と愛が詰まったラブリーなアイドルのみ纏うことが許された金色の衣。

沢山のリボンとフリルに、星柄に光を反射するチェックの生地。腰に付いた大きなリボンの端には金の家鴨のタマゴが光っている。(家鴨とは言ってないが絶対に家鴨のタマゴ) しかものんちゃんとペアである。(ここテストに出る)


「しんどみがすぎる」

「あひる~、着替えた終わったら髪巻きたいからこっちに来て」

「うえ!? 花園さん! すみませんお待たせしてしまって!」

「いいえ、別に。他の事してるからゆっくりどうぞ」


 マスターはそう言って作業に戻ってしまった。これが塩対応というやつなのか、やっぱりのんちゃんの生みの親だなぁと改めて思った。でも、アイドルユニット作ろうと言い出したのがこの人だという事実から、中は結構熱い何かがあるんじゃないかなーと思いつつ、その姿にまたののんを重ねてしまうのであった。


「あの! 着替え終わりました」

「ん、苦しいところは」

「無いです!」

「じゃあ軽く動いてみて」

「大丈夫です!」


 その場でぴょんぴょん飛び跳ねて見せる。元気だなぁ~と少し呆れたような表情をされたが、すぐにいつものへら~とした困り顔のような笑顔に戻った。


「了解です。まだ仮縫いだから気を付けてね」

「あ"っはい!」

「さてと……普段と少し違うヘアセットにするから、楽しみにしててね」

「はい!」


 ヘアアイロンでくるくると巻かれ、あひるのチャームポイントであるアホ毛がハートの形に飛び跳ねる。横髪も縦巻きに、そしてののんとお揃いの編み込みを施された。


「う~ん、可愛い」

「有難う御座います! 光栄です!」

「あは、なんか張りきってるねぇ。嬉しいよ」

「こちらこそです!!!」


 アイロンで熱くなった髪を手櫛でふんわりと撫でてから、マスターはにこりと笑って「ののんに見せておいで」と言った。



*****



「……のんちゃん!」

「あ……似合ってますね」

「当然! だってのんちゃんが作ったんだもん」

「デザインは花園さんですよ」

「のんちゃんが作ったからだも~ん!」

「はいはい」


 あひるの言葉にののんは照れくさそうに微笑んだ。後ろではマスターが和やかな顔で佇んでいる。


「さて、衣装が決まったところで、次はお歌のレッスンですよ。もう曲は決めてあるの」

「シューティングスター!!」

「7月7日に公開予定だよ」

「七夕だからシューティングスターですかぁ。まだ11月なのに来年の夏の話なんて気が早いですね」

「これから準備するんだから仕方ない。でも、衣装貰ってモチベーション上がったでしょ?」

「上がりまくりです~! 来年の夏が楽しみです!」

「うふふ! そう言ってもらえて嬉しいです。レコーディング頑張ってね!」

「「はい!」」


 そう言うとマスターは次の仕事があると早足で去っていった。


「……マスター、本当は響姫あひる-Princess-を企画したかったらしいですよ。私のQueenと対になる感じで」

「え!?」

「でも、この衣装になりました。私とあひるちゃんでIdol」

「天才」

「ですね」


 珍しく下ろされたののんの髪と、これまた珍しく巻かれたあひるの横髪を、お互いの指にくるくると巻き付けて遊びながら、まだ非公開である新衣装を2人で楽しむのであった。




*****



衣装参考:

【UTAU音源配布】シューティングスター【響姫あひる・音暖ののん-Idol-】 https://www.nicovideo.jp/watch/sm33471158

【UTAU音源配布】クイーンオブハート【音暖ののん-Queen-】https://www.nicovideo.jp/watch/sm31725086

【UTAU音源配布】そして君は月になった【音暖ののん-Natural-】https://www.nicovideo.jp/watch/sm31851827


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